寝不足の悪影響はかつて漠然と知られている程度でしたが、近年では様々な研究が進められることで明白に判明してきました。
人間の体の中にはナチュラルキラー細胞を始めとする免疫細胞が存在しています。
この細胞のおかげで様々な細菌やウイルスなどに抵抗することが出来ています。
ところが、免疫細胞の多くは睡眠時に増えるようになっているため、寝不足になるとナチュラルキラー細胞の数が減ってしまいます。
睡眠不足が続くと体調不良に陥りやすいのはこのためです。
人間以外の動物に関しても睡眠不足が続くと寿命を縮めてしまうという実験データがあります。
睡眠時に大きな回復がなされるのは体調だけではありません。
筋肉にとっても影響が大きいです。
起きているときは頭や腕などの重みがかかっていますが、睡眠時の姿勢では筋肉がそれらの重さから解放されます。
その間に筋肉が回復するので次の日に元気良く動くことが出来ます。
しかし、寝不足の状態では筋肉が十分に回復しないので徐々に疲労が溜まっていき、肩こりや腰痛などにも繋がってしまいます。
歩いただけでも疲れが溜まったりしてしまうのはこの影響が大きいと言えます。
勉強や仕事を原因として睡眠不足になった際に吐き気を催した経験をお持ちの方がおられるかもしれません。
人間の体では疲労物質や乳酸が排出されています。
疲労物質や乳酸は起きている間に溜まり、眠っている間に排出するというサイクルによって健康が維持する仕組みです。
また、疲労物質や乳酸を捨てる際には酸素を供給しているので、寝不足によって疲労物質や乳酸を捨てられないと新鮮な酸素を上手く供給することが出来ません。
これが吐き気をもたらす原因です。
また、睡眠不足は腸の働きにも影響し、これも吐き気の原因となっています。
腸はリラックス時にスムーズに働く特徴を持っています。
逆に緊張状態が続くと上手く働けないことがあります。
緊張する場面においてお腹が痛くなるのはこのためです。
腸が最高のリラックス状態になるのは睡眠時に他なりません。
睡眠不足の状態では腸はリラックスする機会を減らしてしまうため、便秘などの問題を発生させてしまうことがあります。
便秘が睡眠不足を招くこともあり、悪い循環に入るケースも珍しくありません。
さらにアレルギーに悩まされている方は特にたくさんの睡眠が必要とされています。
アレルギー反応の主な症状である炎症は体内の活性酸素によって引き起こされます。
この活性酸素は睡眠時に発生するメラトニンが取り除いてくれるので、多めに睡眠をとって活性酸素を排出することが大切です。
睡眠不足に陥りやすい平日に比べて、休日の方がアレルギー症状が控えめになりやすいのはこのためです。
また、女性の場合は睡眠不足は月経周期を乱すことになります。
不妊に悩む方の中でも睡眠不足を原因としている方は意外に多く、仕事を休んで睡眠をとることで改善されたというケースも存在します。
最終更新日 2025年7月2日 by okazus