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國村隼、大杉漣について
年に何本も撮影される映画やテレビドラマ、主人公には現在人気のある若手の俳優さんや女優さんが起用されます。
でも、その作品に奥行きが出るのはベテラン俳優と呼ばれる方たちが脇をしっかり固めているからと言って過言ではありません。
そんな「主役よりも存在感のあるベテラン俳優」さんをピックアップしてみました。
國村隼
1981年井筒和幸監督の「ガキ帝国」で映画デビューした國村さん、ブラックレインのヤクザ役がはまり、ちょっと危ない強い男といえばこの人です。
一方でその深みのある声は魅力的で、NHKの朝の連続ドラマ「芋たこなんきん」では穏やかな「かもかのおっちゃん」徳永健次郎役がぴったりでした。
ドキュメンタリーのナレーションも多く手掛けておられます。
熊本県生まれですが、すぐに兵庫県尼崎に転居、小学生のときには大阪市内にすんでいたということで、自然な大阪弁が印象的です。
大杉漣
下積み時代が長く、40歳代から活動の幅が広がった大杉漣さん、きっかけは北野武監督「ソナチネ」に出演したことでした。
名バイプレイヤーの名をほしいままにしている大杉さんですが、狂気をはらんだ犯罪者から良きお父さん像、はたまたちょっとエッチな人物像まで監督の要望に必ず応える「300の顔をもつ男」と言われています。
「阪急電車」では主人公に丁寧にお願いをする結婚式場のチーフとして一瞬の出演でしたが存在感を示し「箱入り息子の恋」では娘を愛するあまりその彼に手をあげてしまう亭主関白なお父さんと、まさに一つのイメージにとどまらない俳優といえます。
小林薫、光石研、小日向文世について
小林薫
「美の巨人たち」のナレーションでおなじみの小林薫さんは、日本演劇界の鬼才唐十郎さんが主宰する状況劇十進の俳優です。
その才能は、唐さんが包丁持参で辞めないよう説得しに行ったとか(結局は失敗に終わり退団したそうです)。
真顔の時に独特のすごみがあり、じっと見つめられると悪いことをしていなくても白状しそうになる迫力ですが「ナニワ金融道」の桑田澄男のようなコミカルな役も多く、大河ドラマ「おんな城主直虎」でも捉えどころのない南渓和尚がはまり役です。
光石研
コミカルな役から冷徹な役まで、いろんな人になりきって画面に登場する光石さん、本当はどういう人なのか全く想像できないくらいの名演技ぶりです。
映画「めがね」では小さな島で旅館を営む淡々とした主人ユージ、テレビドラマ「紙の月」では妻の裏切りの後に初めて妻へ愛情深い気持ちをあらわにする夫、はたまた「フランケンシュタインの恋」では「研究の研?そりゃダメな方のケンさんだ」とべらんめえ口調で言い切る面倒見のいい工務店の親父と、同じ人が演じているとは思えません。
意外にもダンディーなお姿が色気のある光石さんからは今後も目が離せません。
小日向文世
「明日の、喜多善男」で「おそらく最初で最後の主役だと思う」とおっしゃっていた小日向さんですが、どこに出ていても「いい味出してる」俳優さんです。
少し屈折したところがあるけれど根はやさしい、そんな役が非常によく合いますが「MOZU」の冷酷無比な上司や「アウトレイジ」の極悪刑事などもなぜか似合ってしまうのはさすがといえます。
特に大河ドラマ「真田丸」では、年が若いころのぶっとんだ秀吉から、年齢を重ねて痛々しいまでになる様子を見事に体現し、それが故に主人公に影響したのは新しい秀吉像として大河ドラマを盛り上げた一因と言えるでしょう。
生瀬勝久、西田敏行、谷尾和昭について
生瀬勝久
そのひょうひょうとした姿から「この人が出てくれば何か面白いことが始まるに違いない」と思わせてしまう存在感の生瀬さん、別名槍魔栗三助だということをまだどのくらいの人がご存じなのでしょうか。
細身でセリフ回しが早いので軽い印象を受けますが「ありえないけど、物語の中では生きている」人物像を演じればピカ一と思われます。
「トリック」や「ごくせん」がいい例ですが「龍馬伝」「八重の桜」など大河ドラマでは物事にとらわれず対局を見る人物像を演じておられます。
また「MOZU」ではファーストシーズンのラストでアッと言わせるどんでん返しのキーパーソンとして圧倒的な最期を迎えていました。
西田敏行
最後に堂々たる重鎮、西田局長をあげたいと思います。
映画にドラマに舞台に大活躍の西田さん、お若いころはその体形と優しいお声を生かした「外見はそうでもないけどいい人」という役が多かったように思いますが、最近では権力にモノを言わせる代議士や医師といった「その世界のドン」を演じられることも多くなりました。
一方で「探偵ナイトスクープ」では、小さな子どもからの依頼など話を聞いているだけで涙を流す姿は、人々の気持ちをほっこりさせる司会者として人気を博しています。
「釣りバカ日誌」の浜ちゃんや「池中玄太80キロ」はもとより、大河ドラマにも数多く主演、出演されていますが、どの役でも「西田敏行」個人を感じないのに西田さんが演じることで絶対の安心感を感じるという驚異の俳優魂を持っておられます。
最終更新日 2025年7月2日 by okazus