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●アナボリックステロイドとは?
アナボリックステロイドは筋肉増強剤として利用されることが多くなっています。
アナボリックステロイドとは生き物の化学卯反応で体外から取り込んだものからタンパク質を作り出す作用をもっているステロイドの総称となります。
その多数は男性ホルモンの役割をも果たしています。
アナボリックという言葉の元になったのは構築するという意味を持ったギリシャ語で、通常は単にステロイドと呼称されますが、糖質コルチコイド成分を持った副腎皮質ホルモンなどのステロイドとは異なった物質です。
アナボリックステロイドは筋肉増強剤であり、ドーピングの薬物という一面もあります。
短い期間服用するだけで大きな筋肉増強の効果が実現できるだけでなく、通常で得ることが可能である筋肉成長をはるかに上回って促す作用があるため、運動を目的とした選手に昔から利用されてきました。
歴史としては1935年までさかのぼることができます。
●テストステロンという物質の発見
その年にテストステロンという物質が発見され、経口摂取はされず、注射として体内に投与しても肝臓で急速に代謝されてしまうため、活性が失われてしまうという作用時間が極端に短いという特徴が明らかになりました。
そこでテストステロンの代わりとして様々な調節をしたテストステロンアナログを開発することが期待されていました。
冷戦が激化するとともにオリンピックも一種の戦争となっていく歴史の中で、多くの東ヨーロッパの国々が自分の国の選手に対して組織的にドーピングを行い始めました。
一方対抗するように他の国がテストステロンの代わりの物質とする合成薬を研究し始めました。
その後1955年にアメリカの重量挙げ選手団の専門の医者の手により、期待されていたような筋肉増強剤が開発されました。
これがテストステロンに似た物質、もしくは体の中に取り込んだ後にテストステロンになるというものであり、アナボリックステロイドです。
●ボディビルダーや重量挙げの選手に人気を博す
このようにして誕生したアナボリックステロイドは耐久性が求められる競技や有酸素運動においての能力を向上させるものとして、1960年代初頭から重量挙げを専門とする選手やボディビルダーなどから注目を浴び始めました。
1975年、国際オリンピック委員会はオリンピックにおいてアナボリックステロイドを使用することを禁止する物質の一覧に加えました。
その翌年に開かれたモントリオールでのオリンピックで確立された検出技術を利用して、オリンピックでは初となるアナボリックステロイドが使用されていないかの検査が行われました。
1980年代後半には1988年に開かれた韓国のソウルでのオリンピックで100メートル走の金メダリストがスタノゾールを使用したとして、アナボリックステロイドが運動業界を超えて一般の社会からドーピングに対する関心を引きつけることになりました。
アナボリックステロイドはもともと生き物の体内で分泌されている男性ホルモンの一種であるテストステロンの効果を改善するように開発されたため、テストステロンによく似た物質で、タンパク同化吸うてロイドやタンパク質同化性ステロイド、またはタンパク同化剤やタンパク質同化ホルモンと訳されるようにタンパクに同化する作用を促す効果を持っています。
●男性ホルモン作用タンパク同化ステロイドとも呼ばれる
タンパクに同化するというのは体内に取り込んだタンパク質を細胞内の組織に変化させる役割のことを指します。
アナボリックステロイドは別名アナボリック・アンドロジェニックステロイドといい、他にも男性ホルモン作用タンパク同化ステロイドとも呼ばれます。
アメリカのスポーツ医学会においては、何人かの個体でアナボリックステロイドが適切な食事を摂取する中で脂肪となることなく体重を増やすという効果があり、他にも強い運動と適切な食事を摂取することで得ることのできる筋肉量の増加がアナボリックステロイドを服用することによってさらに促されることが認知されています。
アナボリックステロイドは治療として処方されることもあります。
タンパク同化作用があるため、骨粗しょう症や慢性の腎臓の病気の治療やケガやヤケドからの体力が消耗された状態を改善するために利用されます。
このような目的で処方されることのあるアナボリックステロイドには2種類の製剤があります。
●アナボリックステロイドは副作用もあり
一方で多数の副作用もみられています。
副作用が出現するのは用量に依存し、一番見られる症状は血圧の上昇とコレステロール値の上昇です。
空腹時の血糖値や糖尿病に関する検査の数値の変化がみられることもあります。
また、心臓や血流などの循環器の病気や冠動脈における病気のリスクも高まります。
一度に多くのアナボリックステロイドを経口で服用すると消化管において代謝されるため、生化学的な利用率や安定性が上昇することとなり、肝臓の障害を引き起こす恐れもあります。
血圧の上昇や血液の中のLDLコレステロールが増加したり、血液の中のHDLコレステロールが減少することで心臓や血管系の疾患の原因にもなります。
最終更新日 2025年7月2日 by okazus